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奇妙な出来事

ケンカの翌朝、旦那は仕事だったので、眠そうな顔で重い体を使命感だけで動かして、やっと出かけて行った。
わたしは運良く休日だったので、旦那を見送ってからまたベットに戻った。
睡眠だけが、その時のわたしにとって最高の贅沢だった。

ボートをノックする音で目が覚めた。だいぶ長いこと眠っていたと思う。
わたしがパジャマのままボートの戸を開けると、Wの彼女のAが立っていた。
わたしに何か入っている紙袋を渡して言った。
「さっき買い物に行ったんだけど、これ全部サイズ間違えて買ってしまったのよ。そんなに高くないし、また街まで歩いて行って返品するのもなんだから、もらってくれない?」
紙袋の中を覗くと、セットになったパンツと靴下数足、キャミソールが2枚入っていた。
えー!?これ全部、どうやったらザイズ間違えるの??
Aはわたしが何か言う前に続けた。
「美味しいワインを買ってあるから、後で皆でバーベキューするときに飲みましょう。楽しみー。」
と言って行ってしまった。
わたしはどうしたことだろうかと考える前に、また誰かがボートをノックしてきた。今度はWだった。
「今日は肉屋のダチがいい肉を大量に持って来るから、夕方からバーベキューだぞ。どこにも行くなよ。」と言って行ってしまった。
わたしはバーベキューね、ハイハイと思いながら、さっきAからもらった紙袋から靴下などを取り出して、何かおかしい、もしかして、と思っていると、また誰かがノックしてきた。今度はボート仲間のANというおじさんだ。
「今日、市場で卵が安くて、思わず24個入りの箱ごと買ったんだ。オレは一週間分あればいいから、あとはお前がもらってくれ。」
は?卵?なぜ調子に乗ってそんなに買った?
その後続けてSがやって来た。
「さっきANと市場に行って、ソーセージとか肉類を買いすぎてしまった。もらってくれるか?味付きで真空パックだから、長持ちするはずだ。」
長持ちするんだったら、自分でキープしておけばいいのに、なぜわたしにくれる?絶対に何かおかしい。
その後もう一人やって来た。市場で野菜を買いすぎたからと言って、3種類ほどの野菜を置いていった。
最後にもう一人来て、今度は袋いっぱいのジャガイモを置いていった。

わたしはパジャマと寝ぐせのまま皆に対応して、まだ夢の途中なのかと考えながら、突然の貢物の前で首をひねっていた。
おかしい。絶対におかしい。
普段は回転の遅いわたしだが、すぐに分かった。
彼らは聞いていたのだ。わたし達の昨晩のケンカを。
ボートの中なので安心していたが、たった一枚の鉄板の壁だ。薄いに決まってる。外の音がダイレクトに聞こえるのなら、中の声もそのまま聞こえるのだ。
すごく、すごーく恥ずかしい。

わたしはテーブルに並べられた品物を見渡して、誰にもお礼すら言えなかったなあと思った。
窓から外を見ると、テムズ川がいつものように流れている。世の中が進化して便利なものがたくさん増えて、人々も変わって行くのに、テムズ川だけは何年も何十年も同じままなのだろう。
仲間を思いあって助け合うことも、時代が変わっても何十年も何百年も変わらずにこの世にあるんだなあと思ったら、涙がいっぱい出てきた。
生活がキツくて辛いときは涙なんてこんなに出なかったくせに。
わたしは久々に声を出して大泣きした。

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No title

お友達みんな優しい!きっと泣いてるのも聞こえてるでしょうね。出来る範囲で助けあって、本当にみんな優しい。感動しました。 この友情はお金で買えるものではないですね。

Re: No title

本当ですね。お金で買えるものではないんですよね。なんだかんだあっても、周りがいるから今でもボート生活を続けられてるんだと思います(^-^)
プロフィール

スカイ

Author:スカイ
イギリスで旦那と娘3人でボート暮らしをしていた生い立ちを綴っています。
家賃も地方税も無い自由な生活を選んだはずが、なかなか大変なボート暮らし。大好きなお風呂にゆっくりと浸かることができる生活を毎日のように夢見て、早くボート生活から抜け出したいと思いながら結局7年間を費やしてしまいました。
めちゃくちゃなボート仲間達との暮らしも今はいい思い出です。

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