スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

仲間達がバラバラになってしまった

娘の誕生会が終わってから数週間後のある朝だった。わたしはいつものように朝早く出勤する旦那を送り出して、今日一日の支度を始めた。何も変わらないいつもの朝だった。
突然何かをドンドンと叩きつける音と女の人の叫び声が聞こえてきた。朝食を食べていた娘が驚いてわたしに抱きついてくる。
叫び声はすぐそこだ。何をしているのか分からないが、叫び狂っている女は何かを壊そうとしているのか、ドンドンと戸を叩くたびにバリバリという木がきしむ音がする。
さすがのわたしも怖い。
窓からこっそり外をみると、女の人の叫び声の他は誰もいない。
思い切って外に出てみると後ろのBのボートのドアを女が「出て来い!殺してやる!」と喚きながら狂ったように蹴っている。Bはまだ23歳の若い女の人で、親に寝室が二つもあるナローボートを買ってもらって優雅に暮らしている。さっぱりした性格で人付き合いも良く、よくボートの上に座って仲間と話していたりギターを弾いていたりする。娘も彼女が外にいると手を振って喜ぶのだ。
女は何かの理由で激怒しながらBのドアを蹴り破ろうとしているらしいが、Bは中にいないようだった。
あの女の人、Bのボートのドアを壊す勢いだなあと思いながらよく見ると、わっ!なんと!!その女はPのパートナーではないか!?
ウソでしょー!?!?
わたしが立ちすくんでいると、向かいに住む双子の片割れが彼のボートから頭だけを出して小声でわたしに「中に入れ!」と合図して、「危ないので今は外に出るな」と助言した。
うう、そうなの?って言うか、そうかも。。。今は見ていないふりをして隠れていた方がいいのかも。。。
そう思って中に入った。
娘が「だれ?なにやってるの?」と聞いてきた。
言えない。。。娘には言えない。
娘はPのパートナーが大好きで信用している。Pのパートナーはわたしより5歳上だが成人した娘が2人いて、娘ぐらいの年の孫が3人もいる。15歳で始めの子供を出産したのだそうだ。彼女は見たくれは元ヤンキーだったのかな、という感じだが、仲良くなると面倒見もいいし優しい。わたしは彼女に数回娘の面倒を見てもらったり、一緒に子供たちを連れて近くの公園で遊ばせたりしていた。
彼女の孫たちはPの本当の孫ではないが、子供たちはPをおじいちゃんと呼んで慕っていたし、Pもその家族みんなを連れて旅行に行ったりして本当の家族のように接していた。
わたしはそんな2人をよく知っていたと思っていたので、Pのパートナーが半狂乱になって叫んでいるのが信じられなかった。
少ししてPのパートナーがドアを蹴る音が止んだので、窓からこっそりと外を覗いてみた。娘を学校に連れて行く時間も迫っているので、ただ中で隠れているわけにはいかない。
うわ!
わたしは外を見てゾッとした。
こ、怖い!もーマジで怖いよう!!
Pのパートナーは今度はナイフ、いやいや、出刃庖丁を持って歩いているではないか!
ひー!!しかも、「誰かあの女を隠してるんでしょう!出て来い!」と叫んでいる!
こ、来ないでー!
わたしは怖くて旦那に電話してしまった。こんなときに限って旦那、電話に出ない!と言うか、仕事中の旦那に電話したって何ができると言うのだ。
で、でもなんか怖いしどうしていいか分からない!
結局わたしはPのパートナーが少し遠くまで歩いて行った隙を見て娘を連れてボートから飛び出した。
娘を学校に送って恐る恐る戻ると、Pのパートナーの姿は消えていて、双子の片割れが缶ビール片手にボートのデッキに座っていた。わたしがPのパートナーのことを聞くと、「PがBと浮気した。」と絶対に信じられないことを言った。だってP、Bよりも20歳は年上で充分大人だし、パートナーとは20年近く一緒にいるのだ。そしてBもPのパートナーとは仲が良くて、おまけに彼女には彼氏がいた。Pの親友だ。これって完全に修羅場じゃん。。。。
わたしが驚いていると双子の片割れが言った。「金だよ。金。女は金持ちの男が好きなんだ。」
えー!そうなの?でもいくらなんでもちょっとは考えるよ。別に人の見た目をどうとか言えないが、Pはつるっ禿げの恰幅のいい、ヤクザみたいな風格だ。お金持ちが好きなら別に小さいボートコミュニティの世界で金持ちを探さなくったて、外の世界にもっとたくさんの選択があると思うんだけど。。。
なんだかよく分からないが、あれ、いつも接着剤でくっついたみたいに一緒にいる双子のもう片方が見えないなあ。彼は珍しく朝から出かけているのかと、わたしが片割れに聞くと、「ああ、あいつはちょっと体調を壊して姉の家に静養しに行ったよ。しばらく帰らないんじゃないかなあ。」と言った。
えー大丈夫なの?
わたしが心配していると、向こう側でボート仲間の男3、4人が怒鳴り合う声が聞こえてきた。見ると怒鳴り合うどころか殴り合いだ。
何なに!?なんで皆さんそんなに気性が荒いのだ?
わたしと双子の片割れが呆然としていると、殴り合っている男達の1人が勢いよくこちらに向かってやって来た。Bの彼氏ではないか!?
うわ!なんだか金づちを持っている!出刃庖丁の次は金づちか?
Bがいたら絶対にこいつか、Pのパートナーに殺されてるな。。。。
Bの彼氏は息を荒げながらわたしと双子の片割れにBはどこへ行ったのかと聞いてきた。
「し、知りません。朝から見てません。」と言うと、「あいつ、殺してやる!」と言ってどこかへ行ってしまった。
そこへ今度はボート仲間の一人の若者がベロンベロンに酔っ払ってやってきて、双子の片割れを見つけると崩れ落ちるように泣き出し、片割れは彼を連れてボートの中に入ってしまった。
一体みんなどうしてしまったのかとわたしは呆然とした。

午後になって旦那から電話があった。旦那はその日の朝にPと、お姉さんのところに静養に行っている双子の片割れから別々に電話があって、全ての事情をわたしよりも先に知っていた。そしてわたしに、皆気が立っているので絶対に余計なことは言わず、できるだけ誰にも関わるなと前置きして、びっくりしていたわたしが更にひっくり返るぐらい仰天してしまうようなことを言った。
Bはなんと、ボート仲間達数人の男達と関係があったのだと言う。静養中の双子の片割れもその中の一人で、彼も含め全ての男達がBが自分に気があるのだと思い込んでいた矢先にBとPの関係を知って激怒したり落ち込んだりしているのだと言う。
そして身の危険を感じたPは、Bにしばらく実家で隠れているようにと指示して、自分も親戚の家にしばらく身を隠すことにしたのだそうだ。
たぶん、Pのパートナーは今頃、Pの居そうなところを血眼になって探しているだろう。幸いBの彼氏は(ってことはもう彼氏ではないのか?)Bの実家がどこなのか知らない。
って言うか、双子の片割れもいつもワイルドではちゃめちゃなくせに、こんなことで落ち込んで静養しに行くとは。。。。

その週はあれよあれよと言う間にボート仲間達の結束が崩れていった。嫌気がさしてコミュニティから去って行ったボートも何隻か出てきて、女性陣は皆不機嫌だし、男達は荒れていた。
旦那はPとよく連絡を取っていて、Pが彼のボートのことで心配なことなどを旦那にお願いしたりしているうちに、旦那はスパイだと言う人まで出てきたりと、余計なとばっちりが回ってきたので、いい加減旦那も愛想を尽かしてしまっていた。

2014年、もう少しで10月も後半に入ろうとしていた。
いつもは冬に向けてボート仲間達皆で巻きを割ったり水を確保したりと助け合うのに、その年はとても静かで、皆自分たちでことを済ませているようだった。
あんなに家族みたいに仲が良かったボート仲間達がバラバラになってしまった。
長いこと守り続けてきたボートコミュニティの結束を壊してしまったのは、お役所でもなく地域住民でもない、ボート仲間達自らだった。

コメントの投稿

非公開コメント

No title

あらー…男女間の問題がそこまで仲間達をバラバラにするとは。ここは関わらないが一番ですね、刺されたらたまらん!しかし気性荒いですねー。
Pさんが浮気…うーん、Bさんの魅力にやられたか!Bさんは、ボートにはかなりコソーっと戻って移動するがいいですね。

Re: No title

Junebugさん
彼らは子供みたいですよね。こんなことで泣いたり怒ったり。。。
まあ、時間が経つと我にかえるのでしょうが、感情で生きてます。ある意味自由です。。。。
Pもやっぱり若い子ちゃんに言い寄られると、そりゃあかなわないですよねー。
って言うか、今思えば、うちの旦那は誘惑されなかったのでしょうか。。。? 聞いてみないとですね!

プロフィール

スカイ

Author:スカイ
イギリスで旦那と娘3人でボート暮らしをしていた生い立ちを綴っています。
家賃も地方税も無い自由な生活を選んだはずが、なかなか大変なボート暮らし。大好きなお風呂にゆっくりと浸かることができる生活を毎日のように夢見て、早くボート生活から抜け出したいと思いながら結局7年間を費やしてしまいました。
めちゃくちゃなボート仲間達との暮らしも今はいい思い出です。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
フリーエリア
にほんブログ村 家族ブログ 貧乏家族へ
にほんブログ村 こんな貧乏家族も にほんブログ村 子育てブログへ
にほんブログ村 色々な子育て満載
広告
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。