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家探し

家探しが始まった。
ボートに住んでいる5、6年の間に家賃の相場がすっかり変わっていた。3割は確実に値上がりしている。
わたし達はお役所が指定してきた予算内の家賃の物件を探さなければいけない。わたし達も安いければ安い方がいいので、一部屋の物件を見つけるが、物件の条件にはいつもファミリー不可とか、1人住まい限定などと書いてある。
わたしのボートがある地区は中流階級者が多い地区なので、家賃もそれなりに高い。ファミリー可の物件だと2部屋以上になるので、予算内に当てはまる物件ははっきり言って一軒もなかった。仕方ないのでボートや職場から結構離れたところで探すことにした。
日本も場所によってはそうかもしれないが、イギリスは生活保護者や所得が低い人達の地区と中流、上流階級の地区がはっきり分かれている。同じ地区でも分かりやすく分かれていたりする。なので、安い物件はあまり治安が良さそうではないところに固まっている。そしてそんな地区は、同じように学んでいるはずなのになぜか学校のレベルが低かったりする。
わたしと旦那はとにかくボート生活から脱出できればいいので、場所は特に選ばない。逆に生活保護者が多い地区だと見つかりやすいかもと期待さえした。
それなのにどこの不動産屋も役所が検討してからお金が払われると聞くと、あからさまに血相を変えて「生活保護者は御断り」だと言うのだ。
わたしと旦那はまだ援助すら受けていないのに生活保護者扱いをされ、相当嫌な思いをし続けた。それでも予算内の物件を見つけるたびに体当たりし、丸3ヶ月間ひたすら色々な不動産屋に断られ続けた。
仕方がないのでこんどは広告やネットなどから不動産屋を通さず個人で貸し出している家をあたるが、いいところが見つかっても役所が物件の審査をしているあいだに他の人に取られてしまう始末。
季節は夏真っ盛り、ボート仲間達は夏のボート生活を存分に楽しんでいた。それを横目に、わたしと旦那は必死で物件を見て回り、不動産屋と交渉する日々に追われた。
夏が終わるとすぐに冬が来る。その前にどうしても家に移りたかった。
そして、懸命に家を探すのにはもう一つ理由があった。娘の学校だ。
イギリスの一年生は6歳になる年に始まるが、その前の5歳になる年にレセプションと言って小学生になる練習クラスと、4歳になる年には1日3時間だけの幼稚園クラスがあった。娘は次の年の9月には(イギリスの入学式は9月)幼稚園クラスに入れる歳になるので、その申し込みを入学の年の正月明けまでにしなければいけなかった。なので冬までか、遅くてもクリスマスまでには家に移って住所を明確にしなければ面倒なことになる。

家を必死で探し続けているうちに、夏ももう少しで終わろうとしていた。
わたしと旦那は徐々に疲れはじめていた。毎回同じような繰り返しで一向に決まらないのだ。
わたしと旦那からは笑顔が消えた。物件情報を見るのすら嫌になっていた。お役所が出した条件と方法で家を借りることに成功した人達は果たしているのだろうか?
周りの仲間達は、わたしが娘を連れて旦那に追い出されたので住む家がないと役所に言えばすぐに家を与えてもらえるのでそうするか、仕事を辞めて職がないから助けてくれと言ったらすぐに援助してもらえるぞと、皮肉っぽく言った。
わたしも旦那も本当にそうなんだろうなあ、と思った。

もうダメだと諦めて、お役所にもう家探しをやめると連絡しようかと旦那と話しているときに、一つの不動産屋から電話がかかってきた。ある物件の大家が「生活保護者でもちゃんと仕事をしているような人達ならいい。」と言っていると言うのだ。わたし達が必死で家探しをしているのが気になって、わざわざ連絡してくれたらしい。
不動産屋は冷たい人達ばかりだと思っていたら、信じられないことにわたし達のことを気にかけてくれる人もいたのだ!
わたしと旦那はすぐに役所に連絡をとった。役所の担当者もとても喜んでくれ、今度こそはこの物件を逃さないようにすぐに審査に入って不動産屋にお金を振り込むと言ってくれた。
わたしと旦那は、飛び跳ねて喜んだ。いつも朗報は諦めたころにやって来る。嫌な思いをしながら必死で探して、交渉してきた苦労が実ったのだ!
そして、役所は本当にすぐに良い返事を出してくれて、これから不動産屋にお金を振り込むと連絡が入ったその日に、今度は不動産屋から電話がかかってきた。
「本当に申し訳ないが、他のカップルがあの物件を借りたいと申し出て来て、大家はやはり国から援助を受けていないそちらに貸すことにしたので、この話は無かったことにして欲しい。」と、申し訳無さそうに言った。
これが大きな打撃になった。わたしと旦那は完全に家探しを諦めた。
力という力が全部無抵抗なまま何かに吸い取られてしまった。
わたしは悔しくて一晩中泣いた。働いても働いても貧乏なわたし達には、これ以上どうすることもできなかった。真面目に一生懸命生きることは、人生においてあまり重要なことではないのかもしれない。
家探しを諦めた後、わたしと旦那はできれば避けたかった選択をするしかなかった。
わたしと娘が日本の実家か、イギリスの北にある旦那の父親の家に移り、旦那だけがボートのローンが終わるまでボートに住み続けることだった。ローンさえ払い終わったら、その後少しの期間貯金してアパートを借りることができる。約2年間の別居生活だ。

その頃のわたしは、あれが本当にわたし自身だったのか?本当はわたしではなかったんじゃないだろうかと思うぐらい別人のように落ち込んで、最悪の精神状況だった。毎晩悪い夢で目を覚まし、旦那と娘の寝顔を見ながら悲しくてどうしようもなくなって泣いてしまう日々が続いた。
長くて先の見えない真っ暗な森の中に迷いこんでしまったようだった。

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No title

なるほど。やっと見つけたものを横からさら〜っと持って行かれるというのは怒り半分、悲しみ半分。こんな窮地の追い込まれたスカイさん達だから、いろんな考えがでてきたのでは?
別居というのも案だけど、娘さんの成長期に一緒にいれないのは辛いし。
ここで別の助けが入ったのでは…?と思う私。
Aさんとか、フランス人の方とか?もしくは親分肌のP??周りのお友達に恵まれているから、はいがったと思ってます。

Re: No title

それがですねえ〜、それまで何かあってもなんだかんだ言って色んなことがうまく行き過ぎたのに、この時ばかりは助けや逃げ道がなっくって、あの時は辛かったです。
この後、どうやって乗り越えたか、楽しみにしてくださいねー。
でも、本当、状況は違っても、見つけた物を横からさら〜っと持っていかれること、わたしは人生でよくあるんですが、悲しみと怒りの混ざり合いですよねー。できれば、もう経験したくないですー。

それは辛いね…

日本は政府が費用を負担してくれるから、不動産屋は生活保護大歓迎だよ!
生活保護の上限ピッタリに設定している物件がいっぱいあるから、すごくわかりやすいw
でも、スカイさんちは一時的に政府からお金を借りる状態だけなのに、なんという世知辛さ。
Aが庭付きの広い家を与えられてるのとかを知っていると、真面目に働いているのが損みたいな感じでムカつくを通り越して悲しいよね。
日本も、病気でも頑張って働いても、生活保護で全部面倒見てもらってる人の方が、しょっちゅう回転寿しとか行ってて、なにそれ〜〜!って思うよ。
どこの国も同じなんだね。

Re: それは辛いね…

よねっち、あたしも実は政府が負担してくれるから、不動産屋は安心だろうなあって思って家探しを始めたんだよ。
それがこっちでは生活保護者は、どうせ国がお金出すんだからって思って、借りた家を粗末に扱ったり、勝手に改造したりするから、大家、不動産屋には嫌われているみたい。
Aも国の援助で借りてる家、勝手に改造したり、壁の色塗り替えたりしてるんだよね。。。まあ、彼女は前よりもいい感じにリフォームしたんだけど。。。。
それにしても、日本も生活保護者がちょっといい暮らしできちゃうんだね〜。確かに大変な人たちも大勢いるんだけど、一部でズルしたりする人がいるから、マジメに保護を受けようとがんばってる人達が酷い扱いうけたりしちゃうんだね。。。

No title

あれから全部一気に読んでしまいました。先が楽しみで仕方ありません。イギリス生まれのパートナーにも読んで欲しくて、翻訳機能を使ってみましたが残念な結果でした…。夕食時のテーブルでの話題はこのボート生活についてでした。

これから明らかになるのかも知れませんが、スカイさんがイギリスで生活を始めることになった所以、こんなにも辛いことが多いのにそれでもボート生活を続ける理由を推測したり、見ず知らずの方々なのに、パートナーとの話は尽きません。特に彼がイギリス出身ですので…。

小さい子が居てお忙しいことと思いますが、ここにも楽しみに更新を待っている者がおりますので、これからも体にお気をつけて頑張ってくださいね。

Re: No title

ばんじょーさん、本当にありがとうございます。
翻訳機能、あれは英語訳でも日本語訳でも酷い結果ですよね。。。わたしも旦那に読んでほしいものがあって使ってみたことがあるので、よく分かります。

わたしのブログを夕食時の話題にしてくださるなんて、すごく嬉しいです。パートナーさんはイギリス出身なので、カナルボートには馴染みがあるかと思います。でも、あまりの貧乏生活でびっくりしているんではないでしょうか?

これからもびっくりすることが続くんですが、どうなるか楽しみにしていてください。更新がちょっとゆっくりなんですが、どうかお付き合いください。

プロフィール

スカイ

Author:スカイ
イギリスで旦那と娘3人でボート暮らしをしていた生い立ちを綴っています。
家賃も地方税も無い自由な生活を選んだはずが、なかなか大変なボート暮らし。大好きなお風呂にゆっくりと浸かることができる生活を毎日のように夢見て、早くボート生活から抜け出したいと思いながら結局7年間を費やしてしまいました。
めちゃくちゃなボート仲間達との暮らしも今はいい思い出です。

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